象牙は古代エジプト、ギリシャ、ローマ時代から神聖なものとして神像装身具として用いられ、日本人との関わりは、奈良正倉院の宝物とされた事実から千数百年と云われています。江戸時代から根付彫刻材として珍重され、多くの人に愛されるようになりました。波動伝達に優れた利点から琴・三味線の主要部品にも使われました。現在でも内外問わず、高級ピアノ・ギター・ヴァイオリン他弦楽器に欠かせない素材となっています。
象牙は使い込むほど体に馴染み、着け手の心を和ませる力を持っています。そのため、西洋では自身を主張する剣や銃のカスタム素材に用いられ、国内外で多くのアクセサリーが作られてきました。今でも人気のホワイト系アクセサリーの多くは象牙、いわゆるIVORYを模したものです。
しかし、本物のIVORYの魅力は人工で作られたものでは決して表すことができない素材が持つ柔らかな色合いと職人の手による手作りの温かみです。象牙は今でも全て、手作業で素材から削り出され作られているのです。型押し成形で量産される使い捨ての時代だからこそ、本物を所有するプライドものを大切にする気持ちを再確認していただきたいと思います。親から子へまた愛する人へと、世代を超えて伝えて行ける価値と魅力こそが、私たちの誇りなのです。